私の新たな挑戦の目的
2024年、私はアメリカの不動産投資という新たな挑戦をスタートしました。このコラムを書くにあたり、二つの目標を掲げています。一つは、私の投資経験を広く共有し、社会の役に立てたいという思いです。不動産投資はリスクも伴いますが、その一方で可能性を広げる大きなチャンスでもあります。多くの人にこの経験を知ってもらうことで、少しでもヒントやインスピレーションを提供できたらと思っています。
もう一つは、私の投資活動のバックボーンとなった「CCIM(商業不動産投資顧問)」の知識を整理し、改めて学び直したいという考えからです。ハーバード大学のカリキュラムなどにも取り入れられているというほど、CCIMの知識は非常に奥深く、日本の不動産取引経験者であっても理解が難しい内容が多く含まれています。しかしその分、得られる知識の価値は大きいので、実際に日本人がアメリカで不動産投資に用いたケースを題材に知識を再構築してみようというわけです。
CCIMの壁と実践への転換
CCIMの講義は、年間を通じて4つのパートに分かれています。1つのテキストは分厚く、パート1で使用されたテキストは969ページもあります。その半分は英語で書かれているため、実際の内容は半分になるわけなのですが、日本語訳は非常に分かりにくいものが多いです。私も英語が得意ではありませんが、日本語訳だけでは理解が追いつかず、原文を読む必要に迫られました。それほど難解な内容です。
この資格を取得するには、受講料として約100万円、さらに旅費交通費を含めると総額150万円ほどの費用がかかります。高額な投資にもかかわらず、私はすべてを習得することができませんでした。講義を受けただけでは、自分の中に知識が定着しなかったのです。
そこで、「実際に買ってみないとわからない」という短絡的な思考に基づき、実践を通して学びを深めることにしました。投資を実行し、現場での経験を積むことで、CCIMの知識を補完していく。この実践的な学習法こそ、私に合った方法だと感じました。この考えは、結果としてあたりだったと今になって思っています。
海外不動産投資を志した原点
私が海外不動産投資を志すようになったのは、高校1年生の頃に読んだ落合信彦さんの『狼たちへの伝言』がきっかけでした。この本には、アメリカで裸一貫から大学に進学し、オイルビジネスで巨万の富を築いた彼の物語が描かれています。富だけでなく、友情や女性との出会いといった人生のさまざまな魅力が詰まっており、自由に焦がれた田舎者の私にとって大きな刺激になりました。
高校3年生の頃、私は友人の父親のツテを頼りに、落合信彦さんの講演を直接聞く機会を得ました。彼の話を生で聞くことで、「自分もアメリカに挑戦したい」という思いがさらに強まりました。しかし、現実的な事情からその夢は叶わず、気づけば35年もの歳月が流れていました。
仙台での不動産業から新たな挑戦へ
私は縁もゆかりもない仙台で不動産業を始め、気づけば20年が経過していました。不動産業を通じてさまざまな経験を積みましたが、ある時、「このままでいいのだろうか」と感じるようになりました。仕事に飽きてしまったのです。もっとワクワクするような夢を追いかけたい、新たな冒険がしたいと思いました。
最初に計画したのは、インドでのカップラーメン事業でした。3度現地を訪れ、リサーチも行いましたが、文化の違いに直面しました。インドには、カップラーメンよりも安価で手軽な食べ物が豊富にあり、そもそも市場が成立しにくいと感じました。また、50度を超える気温や法的安定性の欠如、さらには体調不良にも苦しめられました。
インドでのビジネス計画は断念しましたが、この経験を通じて「やはり自分は不動産分野で挑戦したい」と思い直しました。そして、再びアメリカ不動産に目を向けることにしたのです。
不動産投資の成功とは何か?
不動産投資は、単に資産を増やす手段ではなく、「自分自身の人生をどう投資するか」という視点が重要だと考えています。投資を始める前に、まずは自分の立ち位置を確認する必要があります。どのような人が不動産投資に参加し、どんな問題に直面し、どのように解決しているのか。それを分析することが大切です。
また、自分の予算や将来の目標を明確にし、成功の基準と失敗の基準を設定することが重要です。どこまでリスクを取るのか、どの段階で手を引くのか。その線引きを明確にすることで、投資に対する不安を和らげることができます。
不動産投資の世界では、「成功の秘訣はロケーション次第」とよく言われます。私の場合、最初の投資対象は仙台や東京の物件でした。しかし、落合信彦さんの本を読んだ影響もあり、私の目指す場所はやはり海外にありました。
実践を通じた学びの完了
このコラムを通じて、私はアメリカ不動産投資の経験を広く共有しながら、CCIMの学びを実践で完了させたいと思っています。投資は、決して机上の知識だけで成功するものではありません。実際の経験から得る学びが、何よりも重要です。
このコラムが完了する頃には、私自身もCCIMの知識を真に理解し、活用できる状態になっているでしょう。そして、この挑戦を通じて得た知識や経験が、同じように海外不動産投資を目指す方々のヒントになれば幸いです。